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【 ハギ 】

Author:【 ハギ 】
株式会社
木下・萩生田建築設計事務所

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10« 2009/11 »12

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»エイガノハチ

モノクロに憧れた時がある。
意味もなく白と黒をかっこいいと感じた時期。

ボクの中のモノクロームは古さではなく「大人」
の感覚。
彩度を消した世界はどこか不良で、胸が高鳴っ
た。

技術的にカラーが不可能であった頃のモノクロ
の映画作品も食い入るように見入った。
でも不思議なことにその作品の記憶を辿ると
ボクの脳裏にはカラーの映像が浮かび上がる。
カラーの無い時代の映画人の力量のなせる技。
監督黒澤明はモノクロのフィルムに着色しセット
をモノクロがカラーに見えるべく染めたと聞く。

唯一一本この映画だけはボクの脳裏に浮かび
来る映像は黒と白のまま。
カラーが浮かんでこない。
世界が全てモノクロームであるかのような感覚。
白と黒で完成された世界。


「Stranger Than Paradise」:Jim Jarmusch



(Stranger Than Paradise)1984



緩やかなサウンドと穏やかな台詞と制止画の
ような映像。
時間軸さえも失ったかのような流れに3部に
別れたストーリー構成だけが時を刻んでいく。

今尚止まない憧れの映像。

ボクの想像する空間には色がない。
学生時代に幾度となく鉛筆の芯をカッターで削
りマスキングした用紙に塗し擦った着色。
光と影への拘り。
憧れた映像へ手を伸ばしているのかもしれない。


ここ会津はまもなく雪が降る。


彩度を失う風景。
モノクロの世界。
あらゆるもののフォルムがキレイに浮かび上がる
雪の情景。

Jim Jarmuschの映像を重ねながら体感する冬も
悪くないと思ったりする。



                        【ハギ】

»コシブクロ

先日、某協会の現場研修に参加させて頂き
県内にある水族館の増設工事現場を見せて
頂いた。
60度に傾く鉄骨造の空間。
ダイナミックモダニズムな本体に付随する本
現場は軽快感がある。
完成が待ち遠しい。



iwa 1
(完成予想パース)


iwa 2
(既存本体)


iwa 3
(建設現場内)


iwa 4
(建設現場内)


iwa 5
(建設現場内)


iwa 6
(建設現場内)


職人さんの行きかう聖域なる空間。
建設現場に入ると未だに緊張をする。

想い返すと、一番初めに現場に入ったのは
小学校一年生であった。
実家の水廻りの改修工事で近所の工務店
さんが1ヵ月程通いつめていた。

新しい木材の匂い。
その中にツンとくる釘箱の鉄の香り。
真新しい浴槽が搬入され
鼻がこそばゆくなるモルタルの粉が舞い
ミルミルと出来上がってゆく空間。
6才の時分には正に魔法の出来事であった
といっても過言ではない。

日曜日の現場に侵入して・・。
下地の板を拝借して・・。
見よう見まねで釘を口に含み・・。
金槌で「トッカン! トッカン!」
これは棟梁が喜ぶと思っての現場作業・・。

翌日誇らしげに満面の笑みのボク ♪
反して青ざめる棟梁・・。

でも怒らなかったんですよ。
すごいなって!
よくやったなって!
おまけにお礼にってもらった大工さんの腰袋。
一端の大工気分 ♪

ワクワクです。
言い表しようのないドキドキ感。
30数年の今尚つづく感覚。


小学校の卒業文集に書いた将来の夢は大工
さん。
追いつづける夢。

さすがに鉄骨のボルト絞めをしても、どやされる
事を知った今は大人しくの見学。

でもボクの腰には当時もらった大工さんの腰袋
が、いつの間にかぶら下がってゆく・・。


                      【ハギ】




»レキセキ

積もりゆく歴史。

そんな重ねた時間によって朽ちながらも「味」
を増してゆく建築は多い。

会津には歴史と伴に一味も二味も魅力の増
した建造物が多くある。

宮泉銘醸(株)の建造物もそのひとつ。
昭和29年創業のこの建物は、会津の中心に
位置する鶴ヶ城の北側にあり、毎年多くの観
光客を迎えつづけている。

3年程前になるだろうかコチラの専務に相談を
受け、建築の見直しを行ってきている。
毎年少しずつ手を加え自分たちの手でやれる
箇所は、酒を造る手に時には金槌を、時には
塗装の刷毛に持ち変え、板を打ち付け、塗装
を施し、不要になった備品の整理を行いつづけ
ていく。

大きなことはしていない。
出来る人数で 出来る範囲での改修作業。

歴史に手を加えながら未来を見据えるかの様
なその作業には、使い手の「心」が見える。


miya 1
(東側駐車場より全景)


miya 2
(地元染め店による暖簾)


miya 3
(杉玉:酒林)


miya 4
(名水の井戸)


miya 5
(場内通路)


miya 6
(酒蔵情景)


miya 7
(碍子引き電気配線)


miya 8
(酒蔵情景)


miya 9
(酒蔵情景)


miya 10
(酒蔵情景)



建築の「味」の決め手は、使い手の想い・・。


美味しい酒を造ること。
歴史の維持。
未来への継続。

全てはその為の建築への味付け。


改修開始から3年経った今、ペンキの滲んだ
作業服を着て場内を歩く、専務の姿には感服
である。


miya 11
(四代目)


                 【ハギ】



»ミカエリビジン

お洒落をするなら頭のテッペンから爪先まで!

ヘアースタイルを決めて!
お気に入りのアクセサリー!
襟元にもアクセント!
自慢の時計をはめて!
流行の洋服を合わせて!
おろしたての靴なんか履いて!

トータルコーディネート。

外見の美しさは内面から!
内面も美しく!
滲みでる美しさ!



実はコレッテ、建築のお話し・・。

会津若松市の中心商店街にはアーケードが
掛り、1km弱のお店が連なる。
夕方ともなると学生の下校と重なり、賑わい
を見せる。
約3mの高さに伸びていくアーケードの屋根。
ある程度の空間(高さ)の圧縮が、この賑わ
いに一役買っているのかもしれない。

そんなアーケードを通るといつも思うこと・・。

「その上!上を!」

アーケードを境に、まるで別物のような建物。
煌びやかな足元に比べ、質素なお化粧・・。
少しかわいそうかなって・・。


sin 1
(アーケード上部)


sin 2
(アーケード上部)


sin 3
(アーケード上部)


sin 4
(アーケード上部)


sin 5
(アーケード上部)


sin 6
(アーケード上部)


sin 7
(アーケード上部)


sin 8
(通り風景)


意識の問題かもしれない。

見られる。
見せる。

といった、ほんの少しの意識かもしれない。



昭和から立ち並ぶ建物にはモダンな美人さん
も多い。
アーケードという前髪でその表情を隠してしま
うのではなく、思い切って前髪を上げその表情
を見せてみてはいかがでしょう。

きっとその顔、その様相に、明るさが戻る筈。

そして訪れた人が、ドキッ!として振り返る筈。


                      【ハギ】

»パブリックノニ

パブリックその2

8月末の撮影。

写真を温存していたわけではないのだが、
パブリックについて記するならば、何となく
「会津若松市役所」が一番!・・という根拠
のない律儀さが生まれたため、いよいよと
思った時には、まるで合成のような空が広
がる写真の掲載となってしまったわけで・・。

まぁ寒い時期に、ピーカンな空もいいものだ♪
などど吞気さを言い訳にしてみる。

前回の「アキイロ」の記事で散歩をした土手
を西手に臨むと、この「北会津村新庁舎」が
見える。
古市徹雄・都市建築研究所設計のこの庁舎
は地平線をスッパリと裂いたかのような垂直
の塔を備えている。

田畑のマス目の二次元空間に、高さを定義し
3次元空間を生み出すかのような建築。

まるで無風のときの煙のような・・。
回転するコマの芯のような・・。
地面を持ち上げるレバーのような・・。

のどかな農村地域に斬新さを与えている。


k1
(地平線から立ち上る)


k2
(ビニールハウスの両断)


k3
(地面を持ち上げるレバー)


k4
(近影)


k5
(内観)


k6
(内観)


k7
(塔)


上へと延びる柱に支えられ、内部空間も
上部へと持ち上げられる。
外観の重層感に裏切られるような、軽快
で開放的な内部は、余すことなく田畑の
緑と一緒に、光を取り入れていく。

近代建築の軽装感。

歴史ある会津若松市役所とは相反する
このパブリックの在り方もひとつの答え。


白の外装が雪に溶け込み、グランドライン
の突起物になる頃、また撮影してみようと
思ってみる。

そのときは温存することなくタイムリーに♪

                    【ハギ】
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